古物営業法は、その立法趣旨を達成するため、古物商および古物市場主にさまざまな義務を課していますが、その中でも以下の3つが最も重要で、これを古物商および古物市場主の防犯三大義務といいます。
- 取引相手の確認義務
- 不正品の申告義務
- 帳簿等への記録義務
ここではこの3つのうち、1番目の取引相手の確認義務について解説します。
防犯三大義務 その1 取引相手の確認義務
古物商(1号営業)の確認義務
古物商(1号営業)は、(1)古物を買い受ける場合、(2)古物を交換する場合、(3)古物の売却または交換の委託を受ける場合は、以下のいずれかの方法により相手方の身元(住所・氏名・職業・年齢等)を確認しなければなりません。
違反の場合、罰則があり懲役6ヵ月以下または30万円以下の罰金もしくは併科です。
対面による相手方の確認方法
(1)身分証明書、運転免許証、健康保険被保険者証などの証明書(以下「証明書等」)の提示を受ける方法
証明書等の提示を受けられないときは、相手方以外の者に電話などで当該相手方の身元について問い合わせて確認を行います。
(2)住所、氏名、職業および年齢を記載した署名文書の交付を受ける方法
古物商またはその従業者の面前で相手方からその住所、氏名、職業および年齢が記載された署名文書(万年筆やポールペンなどで明瞭に記載され、その者の署名のあるものに限る)交付を受け、必要な質問を行うなどして相手方の身元の確認を行います。当該署名文書に記載された住所、氏名、職業または年齢が疑わしいときは、(1)の方法で相手方の住所、氏名、職業または年齢住所、氏名、職業および年齢を確認しなければなりません。
非対面による相手方の確認方法
インターネットの利用拡大に伴い、これに対応するため、古物商がインターネットを利用して相手方と対面しなくても古物の買い受け等ができるように、そのような非対面取引きにおいて相手方を確認する方法が規定されています。
(1)相手方から電子署名を行ったメールの送信を受ける方法
(2)相手方から印鑑登録証明および登録した印鑑を押印した書面の送付を受ける方法
(3)相手方に対して本人限定郵便等(注1)を送付してその到達を確認する方法
(注1)本人限定郵便等は、郵便局が行う本人限定郵便のほか、信書便事業者が身分証明書等の提示を受けて名宛人本人であることを確認したうえで、本人に配達する信書便物のことです。宅配便はこれに該当しません。
(4)相手方に対して本人限定郵便等(注1)により古物の代金を送付する契約を結ぶ方法
(5)相手方から住民票の写し等(注2)の送付を受け、そこに記載された住所あてに簡易書留等(注3)で転送しない取り扱いで送付して、その到達を確認する方法
(注2)住民票の写し等の「写し」とは、コピーのことではありません。住民票の写し等は、住民票の記載事項証明書、戸籍謄本・抄本、印鑑登録証明書など市区町村の窓口で交付を受けた各種証明書の原本です。
(注3)簡易書留等は、あて先に届けて受領印をもらうものであることが必要です。
(6)相手方から住民票の写し等(注2)の送付を受け、そこに記載された本人名義の預貯金口座等に古物の代金を入金する契約を結ぶ方法
(7)相手方から身分証明書、運転免許証、健康保険被保険者証などの証明書等のコピー(注4)の送付を受け、そこに記載された住所あてに簡易書留等(注3)を転送しない取り扱いで送付してその到達を確認し、併せてそのコピーに記載された本人名義の預貯金口座等に古物の代金を入金する契約を結ぶ方法
(注4)証明書等のコピーは、運転免許証等のコピーのほか、コピー同程度に鮮明であれば写真画像やスキャナーで読み込んだデータファイルを印刷したものも含まれます。この証明書等のコピーは取引きの記録とともに保存しなければなりません。
(8)上記のいずれかの方法により一度確認を取った相手方にホームページを通じてIDとパスワードを付与して、すでに確認を取った相手方であることを確認する方法
取引相手の確認が免除される場合
(1)対価の総額が1万円未満である取引きをする場合
ただし、以下の物を取引きする場合は対価の総額が1万円未満であっても取引相手の確認が免除されません。
・自動二輪車、原動機付自転車およびその部分品(ねじ、ボルトなど汎用部品は除く)
・家庭用ゲームソフト
・光学的方法で音楽や映像を記録した物(CD、DVDなど)
・書籍
(2)自己が売却した物品を当該相手から買い受ける場合
古物市場主(2号営業)の確認義務
古物市場主(2号営業)は、古物市場において取引きをしようとする者について(古物商に限る)、古物商許可証、行商従業者証そのほかの証明書により、古物商またはその代理人等であることを確かめるようにしなければなりません。
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